緊急透析用バスキュラーアクセスとして最も利用されるのはどれか。
1: カテーテル法
2: 自己血管内シャント
3: 人工血管内シャント
4: 動脈表在化
5: 動脈直接穿刺
バスキュラーアクセスとは、血液透析において患者と透析装置との間で血液循環を可能とするために患者側に設けられる仕組みのことで、内シャント(自己静脈・人工血管)、表在化動脈、透析用カテーテルなどの種類がある。
バスキュラーアクセスの種類別では、2008年統計では自己静脈内シャント:90%、人工血管内シャント:7%、動脈表在化:2%、透析用カテーテル:1%となっている。血液透析を受けている患者の97%が内シャントでの透析であることから、バスキュラーアクセスとシャントとはほぼ同意義で使われる。
(自己静脈内シャント)
患者自身の動脈と静脈とを外科的に吻合して作製される。動脈から静脈に動脈圧の血液が流れこむことで、静脈が発達して太くなり、たくさんの血液が流れるようになる。高流量の血管が皮膚のすぐ下に出来ると、この血管を穿刺して血液透析で必要な血流量を、取り出し、そして返すことが可能となる。
(人工血管内シャント)
患者自身の静脈が細い、詰まっているなどシャントに適さない場合は、患者自身の静脈の代わりに人工血管を移植してシャントを作製する。人工血管は合成素材で出来た直径4mmから6mmのチューブである。自己静脈が乏しい場合でも十分な血流を有するシャントを作製することが出来る利点があるが、自己静脈内シャントと比較すると閉塞と感染に注意が必要となる。
(動脈表在化)
皮膚から深い位置を走行している動脈を、外科的に皮膚の直下に移動させて、透析の時に直接動脈を刺して血液を取り出すことができるように作製される。シャントとは違い、血液を返すことが難しいため、別個に血液を返すための静脈があることが必要となる。内シャントが作製困難な患者や、心不全で内シャントを作製することが適さない、または内シャントが不全になったときのバックアップとして作製される。
(非カフ型カテーテル(短期型カテーテル))
透析が緊急に必要となった患者や、シャントが使用困難、作製困難となった患者に、透析用のカテーテルを一時的に留置して透析を行うことがある。非カフ型カテーテルと呼ばれている。
(カフ型カテーテル(長期留置型カテーテル))
透析に必要な内シャント作製が困難である患者や重度心不全、小児透析の患者などに使用される透析用カテーテルである。カテーテルが皮下で移動しないようにカフと呼ばれる繊維が縫い付けてあり比較的長期の留置を可能にしている。
1:正解。透析が緊急に必要となった患者や、シャントが使用困難、作製困難となった患者に、透析用のカテーテルを一時的に留置して透析を行うことがある。
2:自己の動脈と静脈とを外科的に吻合して作製される。動脈から静脈に動脈圧の血液が流れこむことで、静脈が発達して太くなり、たくさんの血液が流れるようになる。高流量の血管が皮膚のすぐ下に出来ると、この血管を穿刺して血液透析で必要な血流量を、取り出し、そして返すことが可能となる。
3:自己の静脈が細い、詰まっているなどシャントに適さない場合は、患者自身の静脈の代わりに人工血管を移植してシャントを作製する。
4:内シャントが作製困難な患者や、心不全で内シャントを作製することが適さない、または内シャントが不全になったときのバックアップとして作製される。
5:上腕動脈、大腿動脈などに直接穿刺を行う緊急用に使用する一時的なバスキュラーアクセスである。